その4-4 ;そのほか

その4-4-1;エンターテイメント(娯楽・演芸)に必要なもの。

 1.エンターテイメントには、(1)エモーションと(2)テーマとがそれぞれ必要です。
    /(1)エモーションと(2)テーマの両者が、一つに集約されるケースもままあります。

  (1)『エモーション(感動・興奮させるもの)』
      = 描かれたいもの、面白いもの、発散されるもの、です。
  (2)『テーマ(主題)』
      = 描かれるべきもの、分かり易くするもの、まとめる(集約される)もの、
         です。

   * 「テーマ」は、さらに次の二つの要素に大別できそうです。
     (A)『作品の要旨』→ 必須(“この作品はこういう話”と一言で言えなくてはならない)
     (B)『作品の主張』→ 巧く主張できれば深みは出ます。

 2.前記1の要素が描き手の欲求に沿う場合には、描き手の意欲も喚起します。
  (A) 今、「面白い」「凄い」「素晴らしい」「格好いい」などと思う事柄を描く場合。
  (B) 今、「なるほど」「そうあって欲しい」などと思う事柄を描く場合。
  (C) 自分の本音を描く場合。
  (D) 自我や自らの劣等感を作品中で解放する場合、など。


その4-4-2;キャラを立たせる。

 1.「キャラが立つ」=「スター的な『存在感』『魅力(華・味・毒)』をもつこと」です。
  
  (1) キャラクターは、見る側の代理ないし感情移入の対象ともなります。見る側
    を作中に引き込むために“立った”キャラクターの存在が重要となります。
  (2) 作者が、キャラに感情移入してキャラの心になりきったような場合は、作中
    のキャラの「動機」=作者自身の「動機」になって、作者の意欲を掻き立てる
    効果もあります。
 
 2.一般に、主人公格のキャラクターには、前向き・一所懸命・頼れる・有能等、の好感
  をもてるような属性を具えさせるのがベターとされます。
  
  (1)もっとも、2ちゃんねるのAA系板の場合、モナギコを初めとして既にキャラの立
    っているキャラクターが複数あり、それらを用いるのが通常です。
  (2)つまり、それら既存のキャラクターをどう作中で生かすか、を考えるのが当座の
    方針としては無難でしょう(別段、新キャラを否定するわけではない)。


その4-4-3;ドラマの原動力は次の(1)〜(3)です。
         但し、バランスに気をつけましょう。

 (1)主人公の動機            →に偏ると、先が見えてしまいます。
 (2)周囲のキャラの動機     →に偏ると、主人公の主体性がなくなります。
 (3)偶然              →に偏ると、ご都合主義の展開となります。


その4-4-4;そのほかのそのほか。

 1.作中で上手く使いたい要素
  (1)キャラの葛藤
    葛藤とは、愛憎や人を殺すか助けるか等、対蹠(正反対の様子)的な心理状態
   が、その時々に、しのぎを削って表面に出ようとしてせめぎ合うことをいいます。
    これによりシリアスなドラマは、より劇的になるとともにキャラの性格が浮き彫りに
   されます。又キャラの心情が変化する契機ともなります。
           / 葛藤を生じる要因; 障害・困難、色恋沙汰、煩悩、義務、ノルマ、時間制限、
                     対立・怨念、隠し事、負い目、心の弱さ、劣等感など。
  (2)キャラの人間的成長
    人間的成長(≒心情・発想が前向きになる)が描かれることは、ドラマに深みを与
   え、感動を生みます(これは、葛藤の末に描かれることが多い)。
             / 人間的成長をテーマにしたビルドゥングス・ロマンという作品類型もあります。
              例えば、手塚治虫のブッダ等(木城ゆきとの銃夢もこの類型か)。

 2.作中で上手く使いたい技法
  (1)伏 線
    伏線とは、のちのエピソードの原因や兆し・予兆を予め入れておく技法です。
   これによって、ドラマの不自然な偶然や、ご都合主義を緩和できます。
  (2)ヒ キ
    連作等の場合に、それぞれの回のラストを迎えても、なお未解決のもの(謎)を
   残して読者を次回にも引き付けようとする技法です(NHK朝の連ドラの十八番)。

 3.留意点
  (1)「謎」の扱い
    基本的に、「一つの大きな謎」で読者を最後まで引っ張るのがミステリーとすれば、
   次々と発生する謎・事件を少しずつ解決しながら、いわば「謎のリレー」で読者を
   引っ張るのがサスペンスといえるかもしれません。
    何れにせよ、一度に多数の謎を作らない方が無難です。「謎は答えの先送り」
   でもあるので、分かりづらい作品になってしまいます(作品に謎が含まれるという
   より、作品それ自体が謎になってしまう)。

  (2)一つのドラマに固有の、暗黙のルール
    固有の、暗黙のルールをやぶると、そのドラマの世界観は崩壊してしまいます
   (ギャグ作品でワザと壊す事もあるが限度はある。極端な例を挙げれば、さくらももこ
    のちびまる子ちゃんの劇中でHARDなSEX描写・陰惨な暴力表現等はありえない)。
    この点で住人特にギャラリーが揉めだす事が往々にしてあります。とはいえ、これ
   を気にしすぎるとストーリーを作れません。一応自分なりの解釈で投稿した後、場合
   により、適宜フォローを考えるくらいでよいのではないでしょうか。

  (3)作品の主張(⊆テーマ)は最後の方に
    作品の主張は、作品(又は各エピソード)の最後の方で描写するのがベターです。
   仮に初めの方でしても、読む側は初めの方を余り覚えてはいられないからです。
    又、主張は、押し付けにならぬよう、さりげなく描写することが肝要です。

  (4)藤子F不二雄の漫画家志望者へのアドバイスから抜粋して引用
    「(前略)アイディアを生み出す能力というものは、学習能力のあるコンピュータみた
   いなもので、描けば描くほど、ひとつの方程式みたいなものが、自然と頭の中にイン
   プットされていくのです。(中略)ですから、なるべく多くの作品を──それが、ものに
   なってもならなくてもけっして無駄ということにはなりませんので、貯金だと考えてどん
   どん描かれることを、お薦めいたします。」